今回はライカM4のブラックペイントをご紹介しよう。
シルバークロームのカメラが一般的だった時代、
一部の写真家、戦場に赴くプロカメラマンからの要望で
一般ユースとは別に作られた数少ない内の一台である。
当然、一般的に作られていたのはシルバークローム。
多くの人が手にしたのはシルバーの個体だ。
しかし、人の性とも言えるだろう。
希少な物、珍しい物をどうしても手に入れたくなってしまうのだ。
その結果、シルバークロームの何倍もの値が付いている。
ただ色が違うだけなのだが、この魅力に取り憑かれてしまうのである。
中には、シルバーの個体を後からブラックに塗装してしまう物まで現れた。
後塗りブラックと呼ばれている。
使い込んでいくと、塗装がスレ、地金の真鍮が顔を出す。
この真鍮の金色とブラックのコントラストが実に味の有るカメラに仕上がる。
昔は口伝てに、なんとかさんがこの貴重なカメラを持ってるらしい、
と言う情報を仕入れ、手紙でなんとか譲って頂きたい旨を伝え、
お会いして、カメラ熱を伝え面接に合格して、
やっとの思いで手に入れられるという時代があった。
このM4もそのうちの一台である。
それほどにブラックのカメラと言うのは魅力的なのだ。