Summicron 35mm F2 第一世代 8枚玉 ブラックの評価は?
「神玉レンズとは何か?」と問われた時、真っ先に候補に上がるであろうレンズが、
今や伝説となった銘玉、ズミクロンの第一世代の通称8枚玉だ。
製造から年月が経ち、ここ5〜10年で市場に出回る数がガクッと減った印象だ(状態の良いものは大陸に行ったのか?)
また職人が手作り的な方法で生産していたため個体差も大きく、黄変や傷によって劣化が進んでいるものも多く見かけるが、
試写した8枚玉は幸い状態も良好だった。
今回は、金沢城で試し撮りした作例の一部を紹介しよう。
たしか解放だったと記憶しているが、メインの被写体を浮き上がらせつつも絵画のようなボケが絶妙で好みだ。
逆光よりの解放では白いベールを被ったような独特の写りになるものの、
少し絞り込むと驚くほどの解像力を見せる。
美しい木目と錆びた鋲の質感の力強い描写に感心してしまう。
少し絞っているものの、α7の画面を見て思わずハッとした!
風化した石垣の1つ1つを緻密に描きだしており、陽の当たった芝生から日陰の苔むした様子まで豊かな階調で見事に表現している。
無限遠で「パチッ」とロックされる機構はライカレンズの中でも手の込んだ作りで
同時期に作られたズマロン35mm F2.8と同じく持っているだけで所有感が満たされる。