ズッシリと重いこのレンズ、ヘクトール 7.3cm F1.9は
実にオールドレンズとしての味がある一本である。
1932年(昭和7年)に発売され、
ライツで初めてF2を切った当時最高に明るいレンズであった。
ヘクトールの由来は設計者ベレク氏が飼っていたワンコから取ったそうだ。
3郡6枚構成のレンズは開放ではやや甘く、
少し絞るとカリッと解像するワクワクするレンズだ。
開放のボケは好みが分かれるだろう。
私、個人的にはこのボケは実に面白い。
この歴史を感じる佇まいに思わず息を飲む。
黒く化粧されたボディーから覗かせる真鍮の色合いが
実に美しい。
今では考えられないが、ガラスに気泡が入っている。
当然、気泡など無い方が良いのだが、
当時の技術では完全に取り除く事は出来なかった。
この時代のオールドレンズと呼ばれる物には
よくあるの事なのだ。
ヘクトール7.3cm F1.9、実に心躍る銘玉である。