フィルム全盛、デジタルにが世に出始める前、
パノラマ撮影が流行していた。
その波は凄まじい物で、コンパクトカメラはもちろん
富士フィルムのインスタントカメラ、「写ルンです。」でも
パノラマ機能が追加されていた。
だが、そのパノラマ撮影は偽りのパノラマであった。
それは上下をトリミングしてあたかもパノラマっぽく
していただけなのである。
当然、画質も下がる。
写真の上下を切り取って、拡大表示しているだけなので
当然の結果である。
そこでこの、TX-1の出番だ。
偽物のパノラマではなく、正真正銘、間違いなく
パノラマ撮影が出来るカメラの登場である。
外観を見て頂ければ分かると思うが、
横に長いのだ。
35mmフィルムの性能を余す事なく
使い切る事が出来るカメラなのだ。
そこに組み合わされるレンズもすでにお墨付きのフジノンレンズだ。
全体的に少し暗めなレンズばかりだが、
中判レベルの大きなイメージサークルなので止むを得まい。
中判の645と同等のイメージサークルを考え設計されたようだ。
だが、発色、コントラスト、解像度は文句無し。
非常によく出来たレンズである。
チタンを使っている事も相まって、
非常に高級感の有る銘機に仕上がっている。
「偽物なんて使わない、本物だけが欲しいんだ」
と言う方には打って付けの1台ではなかろうか。